問題
高齢者の運転免許の自主返納が伸び悩んでいる。
その要因や背景、自主返納を促進するための解決策を800字程度で述べなさい。
解説
まずは設問を分析して構成の流れを考えます。
構成の型については、こちらの 【小論文書き方講座 後編】 の動画で解説しているのでご確認ください。
今回の設問を再度チェックしてみましょう。
「高齢者の運転免許の自主返納が伸び悩んでいる。その要因や背景、自主返納を促進するための解決策を800字程度で述べなさい。」となっています。
つまり問われていることは、
1. 高齢者の運転免許の自主返納が伸び悩んでいる要因や背景
2. 自主返納を促進するための解決策
です。
(問題の)要因や背景、解決策が聞かれているので、
問題・原因 → 解決策 → 結論
という流れで構成していきます。
ポイントは、
・解決策をボリュームアップし、解決策1つ目~~~、2つ目~~~という形にする
・資料読み取りの中もしくはそこに+αとして、問題・原因を明確化する
ということです。
この問題解決型はどういう時に有効かというと、主に「解決策を聞かれている」時です。
例えば、
・「〇〇についての解決策(対策・方策)を書きなさい」
・「〇〇の問題について、どう取り組むべきかを書きなさい」
などのケースです。
そして、この解決策というのは、「問題」と「原因(背景)」を考えることで、より解決策のクオリティが高まります。
各ブロックはこのように構成していきます。

この構成メモに文章を肉付けした800字の模範解答例はこちらです。
模範解答例
課題文より、75歳以上の運転免許保有者が増えている一方、自主返納件数が4年連続で減少していると分かる。ただ依然、高齢ドライバーによる事故は多く、中でもブレーキとアクセルの踏み間違いなど不適切な操作による割合が多いのも特徴だ。自主返納が伸び悩む背景として、ここ数年は返納の意識が薄まっていること、公共交通機関が少ない地域では返納後の生活が不便になることが挙げられる。また免許を返納してほしい家族と運転を続けたい本人の意識のすれ違いも要因としてある。高齢者の運転免許の自主返納を促すための具体的な対策を二つに分けて以下に述べる。
第一に、高齢者に免許返納を考えてもらうきっかけをつくることだ。ある地域では「お試し自主返納」の試みを行っている。多くの高齢者は免許を返納すると生活が送れないという思い込みがある。しかし実際には地域の交通手段について詳しく知らないことも多い。車の運転をしない生活を1ヶ月ほど体験してもらうことで、バスやタクシーを含む代替交通の利用を調べるきっかけになるはずだ。車がない生活のイメージを持つことが返納への意識の醸成につながる。このように高齢ドライバーにいきなり返納を迫るのではなく、段階的に返納に移行する施策が有効ではないか。第二に、車がなくても生活しやすい地域をつくることだ。いくら高齢者に免許返納の重要性を訴えたとしても、高齢者の生活に大きな支障が出るようではなかなか運転を手放すことは難しい。特に公共交通機関が少ない地域では、日々の買い物などの生活に大きな不安があるはずだ。移動スーパーの拡充など、移動手段が少ない地域でも生活の利便性を確保する必要がある。
今後、団塊の世代の高齢化に伴い、75歳以上の高齢ドライバーがさらに増えていくことが予想される。高齢者の自主的な免許返納への意識醸成と車がなくても生活しやすい地域づくりを並行して進める必要がある。
松山の一言コメント
高齢化がさらに進む中での社会問題や課題についてのテーマは頻出です。その中でも今回の「高齢者の運転免許の返納」はイメージが付きやすく、小論文学習においては初期段階でクリアしておきたいテーマです。そしてそれでいて、「高齢者の孤独・孤立問題」「地域での生活の問題」にも発展させやすい奥行きのあるテーマでもあります。「高齢者の運転免許返納の現状」「免許返納が進まない要因や背景」「それに対する解決策」は小論文学習においては常識。今回の課題文の記事(日経電子版)、模範解答例の内容をぜひ知識として吸収しておいてください。
こういった典型的なテーマの場合、解決策として「免許返納するように高齢者に周知徹底する」「呼びかけをする」のようなありきたりな策ではやや物足りない。解答例でも書いたように「(お試し自主返納などを通して)段階的に返納に移行する」など、呼びかけではなかなか変わらない現状に対してどうアプローチするかまで書けると、採点者に「おっ」と思わせるややレベルの高い答案になるでしょう。








