問題
課題文を読み、「政府が子どものSNS利用を禁止する」ことに賛成か反対か、あなたの考えを800字程度で論述しなさい。
解説
まずは設問を分析して構成の流れを考えます。
構成の型については、こちらの 【小論文書き方講座 後編】 の動画で解説しているのでご確認ください。
今回の設問を再度チェックしてみましょう。
「『政府が子どものSNS利用を禁止する』ことに賛成か反対か、あなたの考えを論述しなさい」
となっています。
つまり問われていることは、
・政府が子どものSNS利用を禁止することへの賛否
です。
意見論述型(※ 【小論文書き方講座 後編】 動画で解説しております)をベースに構成を考えていきます。
課題文の要約 → 主張(政府が子どものSNS利用を禁止することへの賛否) → 理由+具体例 → 結論
という流れで構成していきます。
各ブロックはこのように構成していきます。

この構成メモに文章を肉付けした800字の模範解答例はこちらです。
模範解答例
近年、SNSの子どもに与える悪影響が懸念されている。オーストラリアでは子どもによるSNS利用を禁止する法案を可決したが、年齢確認の難しさなどの課題があるという。日本でも、子どもの保護に向けた議論を深めるべきだと筆者は主張する。
私は、政府が子どものSNS利用を禁止することは望ましくないと考える。まず、子どもの権利の観点から考える。SNSは、子どもにとって友達とのコミュニケーションツールとして欠かせない存在となっていることが多いだろう。病気等で入院生活を余儀なくされている子どもたち、周りには打ち明けられない悩みを抱える子どもたちは、SNSで助けや居場所を求めるということもある。SNSの利用を禁止することは、そういった子どものコミュニケーションの権利、ひいては居場所を奪いかねない。次に、社会のSNSへのリスク耐性という観点から考える。子どものSNS利用禁止は、子どもや周囲の大人のデジタルリテラシー獲得の機会を奪うことにつながるのではないか。ある年齢以下は利用禁止と定めることで、自ずと低年齢からのデジタルリテラシー教育の必要性が減衰するだろう。また教育を受けても子どもたちが自分事として捉えられず、教育効果が低減するかもしれない。SNSの社会への浸透を制限したり、そこにはびこる有害情報や犯罪をゼロにしたりすることは現実的ではない。利用を禁止することでSNS利用に免疫の少ない若者が増えると、より犯罪や依存などのリスクが高まるのではないかと懸念する。
確かに、SNS利用が子どもの心身に与える影響は大きく、子どもを悪影響から守る必要がある。だからこそ、安易な規制によって子どもをSNSから切り離すのではなく、発達段階に応じて家庭や教育機関、事業者でより良い利用を模索していくべきだ。小学生など低年齢からのデジタルリテラシー教育に力を入れつつ、ペアレンタルコントロールや事業者による利用制限などリスク低減に努める。何よりも保護者や教育者のデジタルリテラシーを高め、正しく子どもにSNSを利用してもらえる環境づくりが求められる。
松山の一言コメント
今回の出題のような「賛否両論あるテーマ」「ジレンマを抱えた問題」は、小論文の出題テーマとして非常に狙われやすいです。そのような答えがないテーマに対して、「どれだけ深い論点で書けているか」「多角的に物事を見ることができているか」を採点者は見ています。
今回の解答例で学んでおきたいのは、「誰かの権利を侵害していないか」という視点で物事を見てみるということです。たいてい社会の規制は、個人の権利を侵害します。例えば、2020年度の新型コロナウイルス感染症の流行下において、政府は緊急事態宣言を発令、外出自粛を要請しました。これは人々の健康や命を守ることを優先した政治的判断ですが、一方で個人の行動の自由(権利)が制限されました。このように、社会の規制は誰かの権利を制限(侵害)するケースが多いです。今回は「(SNSの利用禁止によって)子どものコミュニケーションの権利を侵害するのでは」といった切り口で書いています。
?そして「深刻な問題にフォーカスする」ことで説得力が高まることも学んでおきたいです。例えば、子どもの権利侵害という文脈で「(子どものSNS利用を禁止することで)友だちや恋人とのやり取りをする権利を侵害するじゃないか」と書くだけだとあまり説得力がありません。それよりも(今回の解答例のように)「病気等で入院生活を余儀なくされている子どもたち、周りには打ち明けられない悩みを抱える子どもたちは、SNSで助けや居場所を求めるということもある。SNSの利用を禁止することは、そういった子どものコミュニケーションの権利、ひいては居場所を奪いかねない」と書くことで説得力が増します。
病気等で入院生活を余儀なくされている子どもたちにとっては、SNSでのコミュニケーションが唯一の外部とのつながりだったりすることもあります。このように(特に大学入試の小論文のように文字数が限られている中では)、より深刻な問題にフォーカスすることで説得力が高まります。
自分の小論文に説得力を持たせる一つの手法として、ぜひ意識してみてください。








