探究で育てる思考力 小論文・面接に生かす

青森県立青森北高等学校

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探究で育てる思考力 小論文・面接に生かす

課題

・探究活動を進めるうえで、社会的な課題に触れられる仕組みをつくりたい
・生徒の情報リテラシーを高め、正しい情報を見極める力を身につけさせたい
・進路マッチングに不足している知識を補い、志望先の確度を高めたい

 創設以来「文武両道」の精神を根底に据え、「普通科」と「スポーツ科学科」の2学科を設置し、生徒一人ひとりの夢の実現を目指してきた青森県立青森北高等学校。青森県内の公立高校の生徒たちが年間を通じ、地域の課題や解決策を考える「あおもり創造学」等、探究活動にも熱心に取り組んでいる。

 今回は同校で「探究部」を担当する菊池大貴教諭に、日経電子版を導入した背景や狙い、そして授業での取り組みについて話を伺った。

新聞記事をスピーディーに共有できる環境を日経電子版で

 「探究活動を進める際に、生徒が情報収集の過程で国内外の社会課題にしっかり触れられる機会をつくりたいと日頃から考えていました。そんな時『日経電子版 for Education』の存在を知り、チャレンジしてみようと思いました」と語る菊池教諭。

 紙の新聞ではなく電子版を選んだポイントは、学校内で記事をスピーディーに共有できる点だ。

 「学校では紙の新聞も閲覧できるようにしていますが、ICTの時代だからこそデジタルツールでスムーズにシェアできる環境を整えたいと考えたのです」

探究の「型」を習得、「活用」「実践」を経て進路活動へ

 同校の探究活動プログラムは菊池教諭を含む探究部2人の教員が中心となって作成、校内委員会(KITAプロジェクト委員会)で他の教員の意見やアイデアを取り入れながら改良を重ねている。また、職員会議等では教職員向けの研修も実施している。プログラムは1年生から3年生まで体系的に積み上げられている。探究の「型」の習得から始まり、「活用」と「実践」それぞれの段階を経て、生徒一人ひとりの進路対策活動へと発展していく仕組みだ。

【1年生】探究の型を習得・活用する期間。専用サイトでスムーズに学べる環境を

 「1年生は探究の土台づくりの学年として、まずは情報リテラシーの学習から始めます。具体的には定量データと定性データの基本、一次情報と二次情報の違い、文献調査やフィールドワークの方法などです。その際に活用しているのが、学校オリジナルの『KITAプロジェクト』専用サイトです」

 同校では探究活動の時間を「KITAの時間」と称し、生徒が正しい情報に効率よくたどり着けるよう専用サイトを設置している。同サイトには、統計情報を得られる公的機関のサイトや日経電子版、また電子版の生成AI機能「Ask! Nikkei」など、探究の全過程で役立つページへのリンクがまとめられている。ここでは過去の先輩たちの研究成果もデータベース化されており、後輩たちの学びに生かされている。さらに、オープンキャンパスや公開講座、課外活動等の案内もここから配信し、生徒は進路情報にアクセスするプラットホームとしても活用している。

「KITAプロジェクト」専用サイト。探究活動に役立つリンクやデータ、さらに課外活動やオープンキャンパスなどの情報も掲載している

 1年生の後半にはテーマを自由に設定し、探究の型を実際に「活用」する。日経電子版で最新の社会課題を調べ、関連ワードを洗い出して問題提起をおこない、情報収集を重ねながら自らの問いを深めていく。最後に、そうして立てた仮説の検証計画を作成する、というプロセスだ。

 

【2年生】探究の型をベースに、実践へ

 

 2年生からは、探究活動の「実践」が始まる。個人またはグループでテーマを設定、情報収集、分析、仮説の検証を繰り返して得たまとめを「中間報告プレゼン」「カテゴリ別発表会」、そして全校に向けた「全体発表会」で発表する。

 「2年生の発表では、参考・引用文献の明記を必須とし、ワークシートにも記入欄を設けています」と菊池教諭。正しい情報を見極め、うまく活用する力を養うことも大切にしている。

 

【3年生】探究的プロセスを、進路対策活動へと昇華・応用

 

 同校では、大学進学者の多くが総合型選抜や学校推薦型選抜を利用する。そのため、小論文試験や面接のプレゼンテーション対策が重要だ。

 「3年生の1学期はインプットの時期です。進路分野ごとのゼミに分かれ、それぞれのグループで選んだ記事をGoogleスプレッドシートなどで共有し、相互に活用できるようにしました」(菊池教諭)

 具体的には探究プロセスを以下の5段階に分け、約8時間かけて取り組む計画だ。

 4~5人のゼミ形式で活動する意図を菊池教諭はこう説明する。

 「個人でおこなう調べ学習では、質の高い記事を見つけられない生徒もいます。グループで記事を共有することで『こんな物の見方があるのか』『こういう課題は知らなかった』など多様な気づきを得られるため、そこに相乗効果が期待できるのです」

生徒たちが互いに共有する日経電子版記事の一覧。多様な視点に触れることで新たな気づきを得られる

 3年生の探究活動のゴールは「小論文や面接で自分の探究内容を表現できるようになること」だ。グループ間で共有した記事をもとに、背景や課題、解決策、自己実現の方法まで掘り下げ、面接の場でも自信を持って語れるレベルまで深めていく。

 また自身の探究テーマと進学先の研究テーマの関連を照らし合わせることで、進路のマッチング度も確認する。

 「ワークシートで調査不足の箇所を可視化し、説明材料をさらにブラッシュアップしていきます。研究内容を理解することで志望の確度を高めると同時に、プレゼン精度・能力の向上につなげています」

志望理由書作成に向けて、自身の活動と進学先の研究とのマッチング度をチェックする

 日経電子版を活用した効果は既に見え始めている。「小論文や面接指導の場面で、ゼロから慌てて調べる生徒が減ってきました。日々の探究活動や日経電子版の利用を通じて、進路対策に向けた下地作りが身に付いてきていると感じます」

 最近では、生徒に日経電子版の「フォロー機能」の活用を勧めている。「フォロー機能を活用して自分の進路に関する最新情報を継続的にキャッチアップすることで、将来のポートフォリオが自然と形成されていくと伝えています」

「探究部」を担当する菊池大貴教諭

他教科やホームルームなど幅広い場面で活用、社会への関心をさらに育成

 菊池教諭は職員会議を活用し、探究活動や日経電子版活用の意義を他教員にも広げている。「探究活動の基本的な考え方や『あおもり創造学』(地域資源や人財を活用して、郷土学習やふるさとの課題解決につながる研究を行い、その成果を地域に発信する事業)の趣旨、そして日経電子版の具体的な活用方法を説明しています。世界史の授業ではテーマとなる国・地域について日経電子版で記事検索しているそうで、担当教員からは『テーマを絞って深掘りする使い方がより有効的だった』という声もありました」

 現在は探究活動をメインに活用されている日経電子版だが、今後はホームルームなど新たな場面での活用も検討している。

 「社会への関心を、より早い段階から育てたいと考えています。進路対策や探究活動が本格化する前の1年生の段階から、社会課題に日常で触れる習慣をつけさせたい。具体的には朝のショートホームルームで週1回、約5分程度の『朝NEWS』の時間を設けたいと思っています。その後は学年が上がるとともに、生徒自身が目的意識をもって主体的に情報収集を進められるような仕掛けづくりをしていきたいと考えています。」

 学年ごとに体系的に探究活動を積み重ねる中で、日経電子版を効果的に活用できる環境を整える青森県立青森北高等学校。情報リテラシーを育む土台づくりから始まり、実践を経て、最終的には進路対策へとつなげていくプロセスは、生徒一人ひとりの成長を支える大きな柱となっている。今後も、デジタルツールを活用した新しい学びの形が、生徒たちの進路選択を支え、将来の自己実現へとつながっていくことが期待される。

青森県立青森北高等学校

学年:高校1~3年生
教科:総合的な探究の時間
授業者:菊池 大貴 教諭

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