野球部に所属する
高校2年生。
来年はいよいよ
受験生。
自分の将来について
ぼんやり考え中。





そんな
タダシくんの
もとに、
現れたのは……?

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野球部に所属する
高校2年生。
来年はいよいよ
受験生。
自分の将来について
ぼんやり考え中。





そんな
タダシくんの
もとに、
現れたのは……?





( Episode01 )
ある朝、いつも通っているコンビニエンスストアで買っているバナナを
食べながら、ふとタダシくんは思いました。
たしかに、よく考えたら当たり前のことではありませんよね。
目の前の商品が店頭に並ぶまでには、さまざまな人たちが関わっています。今回は、普段の生活ではなかなか見えない、裏側の登場人物の存在に目を向けてみましょう。
私たちの暮らす社会では文化や習慣を超え、グローバル規模のネットワークで、さまざまなビジネスが国内外で展開されています。それができるのは「売り手」と「買い手」をつなぐ存在がいるからです。

その「つなぎ役」を担うのが商社です。その商社の中でも、消費者(生活者)に近いビジネスを多く行っているのが、伊藤忠商事です。
たとえばタダシくんが手に取ったバナナは、ドールがフィリピンで生産、輸出し、ファミリーマートで販売しているものです。ドールもファミリーマートも伊藤忠商事のグループ会社なんです。

このように実は皆さんの身近なところに、
伊藤忠商事・伊藤忠グループの存在があるのです。

( Episode02 )
自分の身近に伊藤忠のビジネスがあると知ったタダシくん。

タダシくん
伊藤忠のような存在がいるから、
世界中にものが行き渡ったり、
新しいビジネスが誕生したりするんだな。
……伊藤忠は、
一体いつからこんなビジネスをしていたんだろう?
なるほど。では、タダシくんと一緒にタイムスリップして、
そのルーツを見に行きましょう。

※1 「要衝(ようしょう)」:
交通・通商の上で大切な地点。
ここは江戸時代後期の琵琶湖畔。天秤棒を肩にかついで、その土地の名産品を各地に行商している人たちがいますね。この「近江商人」が伊藤忠商事のルーツです。
近江とは、いまの滋賀県のこと。近江は、中山道、東海道、北國街道などの主要街道に加え、琵琶湖の水運にも恵まれた交通の要衝(※1)だったのです。近江商人は、これらの陸路・水路を活用して各地へ赴き、商売を広げていきました。


伊藤忠商事の創業者である
初代 伊藤忠兵衛も、
そんな近江商人の一人でした。

タダシくん
どうして伊藤忠兵衛たち近江商人は、
近江の外に商売を広げていくことができたのだろう。
いきなり知らない土地に出向いて
『商売させてくれ』と言っても
そう簡単には上手くいかなそう……。
タダシくんの言う通りです。そのために伊藤忠兵衛たち近江商人が何より大切にしたのが「信用・信頼」でした。よそ者として各地で継続的に商売を行うためには、その地域の経済や社会にも良いことをして、信頼を得ることが不可欠でした。だからこそ近江商人は、目先の利益よりも、誠実な取引を積み重ね、信頼を構築することを大切にしたのです。
そんな伊藤忠兵衛たち近江商人の経営哲学を表す言葉が「三方よし」です。

売り手よし、買い手よし、世間よし。自社と顧客だけではなく、訪れた地域の経済・社会全体にとっても良い商売を行う。
このようにして近江商人は信用・信頼を積み重ね、様々な地域に活躍の場を広げて行ったのです。
「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」という表現は、近江商人の経営哲学を表す標語として後世に作られたものです。そしてそのルーツは、伊藤忠兵衛が先輩の近江商人たちへの尊敬の念を込めて唱えた「商売は菩薩の業」という言葉であると言われています。

伊藤忠兵衛は、自らが近江商人であることに誇りを持っていました。
※2 「ニーズ」:ビジネス用語で、消費者(生活者)が求めるもの、要求のことを指す。
伊藤忠兵衛は、自らの足で各地を巡り、現場におけるお客さまの声やニーズ(※2)を、直接感じ取って商いを創出しました。だからこそ社員にも率先して現場に出ていくことを求め、自分の目で見て現場を知ること、また顧客に対して敬意を厚くすることの大切さを説いていました。
※2 「ニーズ」:ビジネス用語で、消費者(生活者)が求めるもの、要求のことを指す。
社員を家族のように大切にし、毎月6回、「1」と「6」がつく日には、全社員が参加する「すき焼きパーティー」を開催していました。当時まだ珍しく、とても高価だった牛肉を、社員の栄養と健康のために振る舞っていたそうです。また、全社員が写っている集合写真が多く残っているのも、この時代としては珍しいことで、これも社員を大切にしていた現れと考えられています。

これらの精神は、いまも伊藤忠商事に息づいています。この「三方よし」の実践により、伊藤忠商事は創業から約 170 年にわたり、持続的な成長を遂げてきました。
日経BPコンサルティングの調査(2022年)によると、世界で創業100年を超える長寿企業のうち、50.1%を日本企業が占めます。伊藤忠商事もそのうちの 1社です。長寿企業の中には、「三方よし」の哲学を実践することで顧客や社会との信頼関係を深めてきた事例も多く見られ、「三方よし」は現在、持続可能な経営システムとして世界から注目されています。
( Episode03 )
ここまで「商社」という存在について、また伊藤忠商事のルーツと受け継がれる経営哲学について学んできたタダシくん。率直に、こんな疑問を抱きます。

タダシくん
でも、単純に「モノやサービスを売りたい企業」と
「お客さん」を繋ぐのであれば、
インターネットで簡単にできるんじゃない?
ネット通販とか……。
タダシくん、良いところに目をつけましたね。その通りです。インターネットで誰でも簡単につながれる時代になり、かつては「商社不要論」まで浮上しました。
そこで、従来の売り手と買い手の間に入り、取引を成立させ、世界のモノの流れを支えるトレードビジネスに加えて、商社の新たな事業の柱として出てきたのが、
「事業投資」です。
事業投資とは、将来の利益や成長を目指して、特定の事業に資金や人材・情報などの経営資源を投じる企業活動全般を言います。投資というと「お金を出す」だけのイメージがあるかもしれませんが、そうではなく、事業そのものの価値を高め、事業の成長にも伊藤忠商事が参画するのが特徴です。


※「建設廃材」:建物の建築・解体工事で発生する、木材やコンクリートなどの不要になった資材のこと。
事業投資によって、さまざまな可能性が広がります。事業が育つとその地域に雇用を生んだり、新たなビジネスパートナーとの連携によって、これまでにないビジネスの仕組みが実現したり……。
たとえば、ファミリーマートで衣類が売られるようになったのも、繊維ビジネスに強い伊藤忠商事との関わりがあったからです。
こうした事業投資の結果、なかなか解決できなかった難しい社会課題を、ビジネスの力で解決できることもあります。その一例が、セルビア共和国の廃棄物処理・発電事業です。
セルビア共和国の首都ベオグラードには長年、廃棄物(ゴミ)を適切に処理する仕組みがありませんでした。首都のゴミは埋立場で野積みにされ、その大きさは東京ドーム8個分にもなっていました。放置されたゴミからは温室効果ガスであるメタンガスが発生し火災が生じたり、汚染水もそのまま国際河川(ドナウ川)に流れ込み、深刻な環境・社会問題となっていました。そこで、国際機関、他国パートナー、政府と連携し、ゴミを燃やして発電する廃棄物発電施設を中心とした全く新しい廃棄物管理の仕組みを整えました。ゴミをエネルギーにし、建設廃材やメタルリサイクルも行うこの施設は約680億円をかけてつくられ、同
国のごみ問題、環境問題、
エネルギー問題の解決に貢
献しています。


タダシくん
事業投資を通じて、現地の人も喜び、
ビジネスにもなって、
社会課題も解決する仕組みをつくった。
これってまさに、
前回学んだ『三方よし』の体現じゃない?
その通りです!
このように伊藤忠商事は社会のニーズに応え、そのときどきに果たすべき役割・機能がどうあるべきかを考え、ビジネスを続けてきました。だからこそ、創業1858年以来、長きにわたって存続することができています。
これからも、タダシくんの学びは続いていきます。
タダシくん
このバナナ、フィリピン産なんだ。
遠く離れた場所で作られているバナナが、
毎朝、日本のコンビニエンスストアに並んでいるのって、
改めて考えてみるとすごいことだよなあ......。
なぜ、こんなことができるんだろう?