城北中学校授業レポート(後編)

「宇宙にデータセンター」が空想でなくなる日

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城北中学校授業レポート(後編)

城北中学校(東京都板橋区)の生徒を対象にしたインターネットイニシアティブ(IIJ)と日本経済新聞社による共同授業は生徒の好奇心をくすぐる内容でした。2026年2月24日のデータセンター見学ではサーバーの稼働や冷却に想像以上の電力を消費することを学びました。20人の生徒たちはワークショップを実施。環境に優しい施設のあり方や、地域社会とデータセンターの関わり方についてユニークなアイデアを提案しました。

どう節電するのか、を考えて

スマートフォンや動画配信など、日常的に利用しているインターネット。その裏では膨大な数のサーバーが稼働し続けている。IIJのデータセンター見学を通して生徒たちが特に驚いたのは、サーバーの稼働そのものに大量の電力が必要であり、さらにその熱を冷却するためにも大きなエネルギーが費やされているという現実だった。

5つのチームに分かれてワークショップが始まった

ワークショップに入る前、IIJ広報部の堂前清隆技術統括部長が生徒たちにこう呼びかけた。

「節電しよう、というのは当たり前の話です。どう節電するのか、そして電気を使わないことで起きる問題も含めて考えてみてください」

テーマは「環境に優しいデータセンターのあり方」そして「地域社会との関わり方」だ。4人1組、5つのチームに分かれた生徒たちは机を囲み、付箋にアイデアを書き始めた。

「廃校になった小学校をデータセンターに使えないかな」
「家庭にサーバーラックを分散させたら?」
「海の上に建てたら冷やしやすそう」

紙いっぱいにイラストを描く生徒、矢印を引きながら仕組みを説明するチームもある。机の上には色とりどりの付箋が並び、議論は次第に熱を帯びていった。
 

さまざまなアイデアを付箋に記していく

太陽光だけでまかなえるか

最初のチームは、屋根をすべて太陽光パネルにする案を出した。

「これなら電気を自分で作れるんじゃない?」

するとIIJの担当者が問いかける。

「ソーラーパネルって、どれくらい電気を作れるか知っていますか?」

生徒は少し考え込む。

「想像つかないけど……家の屋根についているのはよく見るけど」

担当者はこう説明した。

「今の太陽光発電は、一般家庭の電力ならまかなえますが、データセンターのような大規模施設にはまだ足りないのです」

生徒たちは「なるほど」とうなずく。

遠い未来の空想ではない

次のチームが掲げたのは大胆な案だった。

「宇宙にデータセンターを作る」

宇宙にデータセンターを設置する構想を説明する生徒

奇抜な発想に、教室から「おお」という声が上がった。宇宙なら場所は無限にあり、騒音問題もない。さらに冷却もしやすいのではないか――という提案だ。ただし課題もある。地球との通信や修理コストをどうするか。

堂前氏は笑みを浮かべながらこう答えた。

「実は、それに近いことを考えている企業、日本の企業ですでにあるんですね」

中学生のアイデアは、決して遠い未来の空想ではなかった。

原発の隣に建てる?

次のチームは、電力問題に正面から向き合った。

「原子力発電所の近くにデータセンターを作る」
 

それぞれのアイデアを発表する生徒たち

もちろん原発の安全性が前提だが、巨大な電力を必要とする施設なら合理的ではないか、という考えだ。堂前氏はうなずきながら説明した。

「これは実際にアメリカなどで検討されている方法です。原発とデータセンターをセットで作る計画も進んでいるようです」

生徒たちの表情が少し誇らしげになる。

捨てられる「熱」を使って料理

議論は次第に、データセンターのもう一つの課題に向かった。サーバーが出す「熱」についてだ。あるチームはこう提案した。

「この熱で料理を作って地域に提供するのはどうでしょう」

思わぬ提案にこの施設の責任者であるIIJの加藤佳則センター長も笑顔を見せた。

「面白いね。そんなことは今まで考えたことがなかった」

ただしサーバーから出る空気は約40度。料理に使うには温度がやや低いかもしれない。

すると堂前氏が補足した。

「低温調理とか低温熟成、牛肉の熟成とか今流行っているし、それなら使えるかもしれませんね」

生徒たちに安堵の笑みが浮かぶ。

生徒たちの発案に応える堂前氏

このほか、サーバーの排熱を地域の温水プールや温浴施設に利用する案も出た。環境負荷の低減と地域サービスの両立を目指す提案に、担当者もうなずきながら耳を傾けていた。

「これをうまく利用できれば、大きなビジネスになるかもしれません。そう、それを開発できたら億万長者になれるかもしれないですよ。だって世界中にデータセンターがありますからね」

堂前氏はこう語りかけた。

さらに、建物のデザインに目を向けたグループもあった。

「データセンターはどうしても無機質な建物になりがちですが、外観をもっと工夫すれば地域に開かれた施設になると思います。例えば、外壁のデザイン性を高めたり、眺めていて楽しいものにすれば、街の景観にも貢献できるのではないでしょうか」

ITインフラというと技術の話に目が向きがちだが、生徒たちの議論は次第にエネルギー、環境、地域社会へと広がっていった。

小さなアイデアが未来をつくる

ワークショップを終え、加藤センター長が生徒たちに語りかけた。

「発明はいつも小さなアイデアから始まります。皆さんもちょっとしたひらめきや発想を大事にして、将来、社会に役立つ研究につなげてもらえたらうれしい」

生徒たちの発案に応える加藤センター長

スマートフォンはインターネットを通じてデータセンターにつながり、そこから世界へ広がっていく。その仕組みを支えるこの業界では、まだまだ新しいアイデアが求められている。

IIJは日本で初めて商用インターネットサービスを開始した企業として、インターネット基盤を支える技術者の育成にも力を入れている。今回のような学校との連携授業や施設見学は、次世代に向けたメッセージでもある。

「インターネットは目に見えないインフラです。だからこそ、その仕組みを実際に見てもらうことで、ITの世界に興味を持ってもらえればと思っています。将来、ITエンジニアだけでなく、社会貢献としてインフラを支える仕事に興味を持ってくれる人が増えればうれしいですね」

IIJの堂前氏も今回の見学・ワークショップに手ごたえを感じたようだ。

見学を終えた生徒たちの声

見学を終えた生徒たちの表情には、興奮と驚きが残っていた。宇宙関連の話題に関心を持つ生徒はこう話した。

「宇宙とかJAXAなどに興味があるので、宇宙にデータセンターを作るという発想もありかなと思いました。事前学習で、この地域の電力は東京電力との連携で成り立っているという記事を読み、アメリカではデータセンターごとに発電所を作っているという話も知っていたので、電力の問題をどうするかを考えました」

別の生徒は、実際の設備のスケールに驚いたという。

「サーバーがこんなにたくさんあるのを初めて見ました。しかも、それを冷やすためにこんな大きな設備が必要だと知って驚きました」

パソコンが好きだという生徒は、技術の裏側にある社会的な意味にも目を向けていた。

インターネット社会の現実を実感する一日となった

「普段パソコンは使っていますが、サーバーとPCがどう関係しているのかを間近で知ることができてよかったです。PC同士がどう連携しているのかも理解できました。それと、ITの技術だけじゃなくて、データセンターが社会の中でどんな役割を持っているのか、環境への影響や地域との関わりも大事なテーマだと感じました」

近年、データセンターの重要性は急速に高まっている。生成AIやクラウドサービスの普及に伴い、世界中でデータ処理の需要は増え続けている。一方で、電力消費や環境負荷といった課題も大きくなっている。

環境負荷の低減という点では実際、IIJは新しい空調システムを導入し、データセンター全体の消費電力の40%削減を達成している。また、使用している冷却水もほぼ100%再利用しているという。

普段は画面の向こう側にあるだけの「インターネット」。その裏側にある巨大なインフラ実態を、彼らはこの日、初めて体感した。生徒たちにとって「インターネット社会の現実」を実感する一日。そして、その経験は、デジタル社会の未来を考える新たな視点を、生徒たちに与えていた。

インターネットイニシアティブ(IIJ)

授業者:インターネットイニシアティブ広報部兼テクノロジーユニット 堂前清隆氏
基盤エンジニアリング本部 基盤サービス部  加藤佳則氏

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