渋谷教育学園渋谷高等学校授業レポート(前編)

シブヤノミライへ 投資家に選ばれるビジネスを学ぶ

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渋谷教育学園渋谷高等学校授業レポート(前編)

「シブヤノミライ」に向けて 投資家に選ばれるビジネスを学ぶ

 大和証券グループと日本経済新聞社は2025年6月5日と10日の2日にわたり、東京都の渋谷教育学園渋谷高等学校で出張授業を開催しました。

事例で学ぶイノベーション

 この出張授業は、同校が毎年実施する「シブヤノミライ」というプロジェクトの一環です。高校2年生が公共の授業やフィールドワークを通して、学校のある「渋谷」のよりよい未来を創るための施策を生徒たち自身で考える取り組みです。行政や民間企業の視点で新たな策を考え、最後にプレゼンテーションをします。今回の出張授業は「価値を創造するイノベーションとは」をテーマに、投資家が企業の価値を判断するポイントやビジネスモデルの作り方など、新たな施策を考えるために必要な知識を得る機会となりました。

 「Nは……エヌビディアかな?」「株価が急落しているのはなんでだろう?」「Aはアップルかアマゾンのどちらかだと思う」――。講師を務めた大和証券の柴田光浩さんは授業中盤、2つの株価チャートを示して20年間で数百倍になった株価の動きと「A」「N」というイニシャルに当てはまる米国企業を考えてほしいと声をかけました。生徒は近くに座る友人たちと様々な企業名を出し合って議論します。

実在の企業の株価を例に解説する

 正解はNが動画配信サービスのネットフリックス、Aはアップルでした。両社に共通するのは「発想の転換」で新たな市場を創りだす「イノベーション」を起こした点にあると柴田さんは説明します。

 アップルはiPhoneによってそれまでは自宅や会社で使うものだったインターネットを「持ち運びできるもの」に変えました。ネットフリックスはDVDレンタルから動画配信に事業モデルを転換し、映画やドラマの新たな視聴の形を生み出しました。

投資家に選ばれる企業の条件とは

 授業ではまず投資とは何かを学びます。株式は、企業にとっては銀行の融資などと違って利息支払いや元本返済の義務がない資金調達方法であることが大きなメリットです。一方、投資家にとっては、株式の値上がり益や配当といった株主としての利益が得られるほか、企業を通じて社会貢献ができるといった意義もあります。

投資と企業・社会との関係性を示す

 企業が業績を伸ばせばより多くの投資家が出資します。企業は投資家から得た資金を開発や設備投資に回せるので一段と利益が得やすくなります。投資家から選ばれて利益を伸ばせる企業の条件は、やはりイノベーションを起こせる企業です。ネットフリックスやアップルは技術革新や発想の転換、戦略転換などを通じて社会の課題や不便を解決したからこそ多くの投資家の期待を集めました。

 柴田さんは次に、新型コロナウイルス禍で株価を伸ばせた企業と伸ばせなかった企業の株価を紹介します。株価を伸ばした企業は出社や対面での業務が制限される中で高まる需要を取り込んで業績を伸ばしたファクトリーオートメーション(FA)メーカーでした。一方、株価が伸び悩んだのは医療機器メーカー。需要の伸びに対して生産が追いつかず、せっかくのチャンスを取りこぼしてしまいました。

熱心に講義を聴く生徒たち

 ともに社会課題の解決につながる事業を展開していた2社でしたが、明暗が分かれました。柴田さんは「イノベーションや社会課題の解決も大切だが、利益を得られるビジネスモデルが重要だ」と説きます。どんなに社会的な意義が大きな事業でも、利益が出ず投資家の期待を集められなければ持続できません。

 そこでグーグルの事例を紹介します。グーグルは世界中の誰もがいつでも情報にアクセスできる世の中にしたいという「パーパス」を掲げています。一方で、収益源は企業などから得る広告収入です。グーグルは「パーパス」と「ビジネスモデル」を明確に分けています。

パーパスと収益を考える力を

 授業の最後に柴田さんは「シブヤノミライではぜひ、社会のためになるパーパスだけでなく、どうやって誰から対価を得られるのかをしっかり考えて施策を作ってほしい」と生徒たちに語りました。授業終了後もたくさんの生徒が柴田さんの前に集まり質問の列を作っていました。

生徒たちに期待をかける柴田さん

 生徒からは「授業を受ける前は投資=ギャンブルというイメージがあったが、お話を聞き、みんなで議論しながら考えていくなかで、中長期的にみたプラスの効果を知って興味がわいた」「経済や投資はすべて『変化』がキーワードになっている、というお話がとても響いた」「まだまだ勉強が足りないが、起業に少し興味がわいた」といった声が聞かれました。

 柴田さんは「株価チャートを見ていろいろな企業名が出てくるところが、知識レベルが高いなと感じた。少しレベルが高い内容もあるかと思ったが、生徒たちの知的好奇心に刺さったようでよかった」と話していました。授業を担当した社会科の佐藤恵律教諭は「授業後、生徒たちからビジネスに興味を持ったという声がたくさん聞かれた。この授業をきっかけにシブヤノミライの取り組みがより奥深くなりそうだ」と話していました。

 日本経済新聞社は、大和証券グループをはじめとしたパートナー企業とともに、「日経電子版 for Education」だからこそできる、中高生に新たな学びの機会の創出をこれからも続けていきます。

(続く)

大和証券グループ

授業者:大和証券 エクイティ営業部 柴田光浩氏

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