西武学園文理高等学校授業レポート(中)

「借り物の議論は本物にならぬ」本気インタビュー

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西武学園文理高等学校授業レポート(中)

「借り物の議論は本物になりません」、手加減なしのインタビューにくじけず

インターネットイニシアティブ(IIJ)と日本経済新聞社が2024 年10月31日、西武学園文理高等学校の「クリエイティブクラス」で実施した特別授業は、生徒にとっては緊張感あふれる50分になりました。鈴木氏がインターネット業界で残した実績を学び、パイオニア精神に迫ろうとしたインタビューは生徒の思いもよらぬ展開となるのです。

冒頭から経営危機に対する質問

 スーツ姿の鈴木氏が教室に姿をあらわすと、昼休み明けでざわついていた空気が張りつめました。インターネット業界の重鎮でもある経営者に威厳を感じ、生徒らの背筋も思わず伸びます。生徒はひとりひとり手を挙げて教室の前方に進み、鈴木氏と向きあいインタビューに挑んでいきます。

 冒頭から鈴木氏の信念に迫るような質問が投げかけられました。「多額の負債を抱えながら、なぜインターネットに情熱を持ち続けたのでしょうか」。インターネット専用のインフラ網を築こうとした結果、2000年代前半に直面した経営危機の失敗について聞いたものです。

 「非常に革新的なコンセプトでした」。1998年にトヨタ自動車、ソニーと3社で設立したクロスウェイブコミュニケーションズ(CWC)の狙いに触れて、会社更生法を申請するまでの経緯を説明。債権者集会で謝罪を要求されても謝らなかったというエピソードを紹介し、「事業は失敗したが、構想は間違っていなかった」と当時の心境を振り返りました。

 それに続いて、大陸間弾道弾によって通信網を破壊される脅威に対して誕生したインターネットの歴史をひも解きます。インターネットと電話網の技術の違いを専門的に解説するなど、インターネットに見出した可能性を語りました。次々と話題を変えながらスピーディーに進む展開に、生徒はやや圧倒された様子でした。

緊張しながらもインタビューに挑む生徒

あらゆる角度から質問

 「なぜ批判に屈せず自分の考えを貫けたのでしょうか」、「エンジニアのやる気をどう引き出しましたか」、「成功は運に左右されますか」。あらゆる角度から生徒の質問が飛んできました。

 文系と理系のどちらを選ぶべきかといった進路、友人関係の悩み、AIが人間の知能を上回って加速度的な進化を始める「シンギュラリティー(技術的特異点)」の可能性などに意見を求める生徒もいました。鈴木氏はみずからの経験談を交えながら、それぞれのテーマに対して言葉を濁すことなくインタビューをこなしていきます。生徒が期待していたストレートな答えとばかりいかず、つかみどころがないコメントに戸惑ったと感想を漏らした生徒もいました。

「借り物の議論は本物になりません」

 経営哲学を知ろうと、「どんどん技術革新が進むなかで、長期的な企業価値をどのように築けばいいのでしょうか」という質問がありました。

 これに対して、「そんなことを真面目に考えたことあるの?」と切り返します。生徒が「普段あまりありません」と応じると、「企業価値をどう高めるか、事業をやるまで考えたことはなかったです。激しい技術競争の時代で、個々の企業の業績をあんまり考えてもしょうがありません。自分に身近なことを聞いたほうがいいですよ」と辛口なアドバイス がありました。

ペアで質問にのぞむ生徒も見られた

 「社会で活躍するため、若者は最低限どのような意識を持ったほうがいいですか」。こんな問いもありました。鈴木氏は「あまり背伸びしないほうがいいね。借り物の議論をいくらしても本物になりません」と諭すような場面も。授業は教科書通りとはいかず、生徒らには行き詰ったような雰囲気も漂います。

最後に明かした本音に優しさ

 「冷たかったと感じたでしょう」。鈴木氏が授業の最後に本音を打ち明けました。
「ふつうは子供だからといって合わせてあげるものですが、僕は配慮してあげませんでした。社会に出る前に考えないといけないのは、誰かに質問するということは難しいということです。優しい大人とばかりつきあわないほうがいいですよ」とにっこり締めくくりました。

生徒らに期待のメッセージを送る鈴木氏

 インタビューのトップバッターだった松村咲希さんは、思ったような回答が引き出せず悔しさが残ったひとりです。それでも鈴木氏のひとつひとつの言葉から強い信念を感じ、「自分の意見を臆せず発言していきたい」と勇気を持てるきっかけになったといいます。
生徒らが口をそろえたのは「厳しい言葉に優しさがあった」という感想でした。

「どうしても聞きたい」、女子生徒が校長室を突撃

 生徒もくじけてはいません。「どうしても聞きたいことがあります」。鈴木氏が休憩していた校長室に突撃してきた4人の女子生徒がいました。授業で切り出せなかった質問を聞きたいといいます。担任教師にも伝えず、アポなしで校長室の扉をノックしました。鈴木氏は嫌な顔ひとつせず、4人を招き入れてくれました。

 「他にやりたいことがあって、学校に行く意味が分からなくなっています」。鈴木氏が高校生のころに「さぼり癖」があり、東京・上野の美術館や博物館、図書館などで多くの時間をすごしたエピソードを知ってのことです。ひとりで時間をつぶしたことの苦い経験、授業の方が独学よりも効率良く知識が身につくことなどを彼女らに伝えました。「若いと悩みがあるかも知れませんが、学校に通って友達にも相談してください」と親身になったアドバイスを送りました。

鈴木氏の経験からアドバイスがほしいと、校長室を訪れた生徒ら

 「挫折したかもしれませんが、失敗も学びです。時間をかけて振り返ったとき、どんな成長につながるのか期待したいです」。笠原先生は意気消沈した生徒の姿をみても、視野や興味を広げるたくましさに信頼をよせていました。探究的な学びでは生徒がやりたいことを掘りさげて学びを深めていきます。みずからの軸足を見極めるのが大事な第一歩です。自分は何者なのか。鈴木氏が伝えた多くのメッセージが、生徒の心に訴えかけていくはずです。

インターネットイニシアティブ(IIJ)

授業者:インターネットイニシアティブ代表取締役 会長執行役員 鈴木幸一氏

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