西武学園文理高等学校授業レポート(下)

インタビュー後、ひとりひとりが充実感

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西武学園文理高等学校授業レポート(下)

インタビュー後、ひとりひとりが充実感

 インターネットイニシアティブ(IIJ)と日本経済新聞社が2024 年10月31日、西武学園文理高等学校の「クリエイティブクラス」で実施した特別授業。生徒によるインタビューでは、鈴木幸一会長の人生観、経営哲学など幅広い質問が投げかけられました。授業後に生徒と先生に感想を聞きました。

優しさだけでは成長しない

 松村咲希さんは、経営難に陥った際の再建について触れて、社内の士気をどう高めたのか人材面からインタビューしました。

インタビューのトップバッターだった松村咲希さん

■インタビューまでにどのような準備をしましたか。 

「鈴木会長はどういう人物なのかをグループに分かれて調べました。IIJの事業や規模、生年月日、出身地、どういう価値観を持っているのかなどを分析しました。探究学習のなかで実際にインタビューを経験するのは初めてで、前日の夜からずっと不安を覚えていました。インタビューの難しさを身を持って体験しましたが、違う世代の相手にインタビューする訓練になりました」

■なぜ人材のマネジメントについて知りたかったのでしょうか。

 「会社が経営危機に陥り、そこから再び駆け上がろうとするときに、ひとりの力だけでは難しいと感じていました。優秀な人材を集めることが求められるなかで、社員にどんな話し方や向きあい方をしたのか気になったからです。優しい人ばかりとつきあっていると成長しないと話されていました。会社を率いるためには、厳しい態度も必要だったのではないかと受け取りました」

 「鈴木会長は強い信念の持ち主でした。弱腰な姿勢でいると突き放されてしまうのではないかと、気後れしそうに感じました。本当に自分の聞きたいことは何だろうと突き詰めて、強い意志を持って学ぼうと思いました」

■何がもっとも印象に残りましたか。

 「『僕は冷たい』というコメントが胸に刺さりました。バレー部に所属していますが、あいさつや礼儀、マナーをふだんから厳しく指導されています。鋭い言葉で注意されることで、自分が気づかなかった甘さや課題を自覚させられることが多くあります。優しいだけでは成長しないとあらためて実感しました」

■探究学習を通じて、どんなことを学びたいと考えていますか。

 「探究学習では色々な意見を聞くことを意識しています。強い主張を持つ同級生に接して、真逆の考え方に触れることがあります。意見の衝突に気まずさはありますが、それに臆せず自分の意見を訴えたいと考えています」

進路の悩みにアドバイス

 中村陽翠さんは個人の悩みを打ち明けて、周囲の批判をどう乗り越えればいいのかアドバイスをもらいました。

インタビューの難しさを実感した中村陽翠さん

■自分の悩みを質問していました。

 「大学進学の希望に対して、周りの人から批判的な言葉をもらうことがあります。IIJが大きく躍進するまでには、鈴木会長に向けた否定的な攻撃もあったと考えた質問でした。自分はひとつひとつの攻撃にダメージを受けて落ち込んでしまうタイプです。中傷めいた反応をどう乗り越えたのか、そのうえで次の行動の踏み台にしたのかと聞こうとしました。目標に向けて本気で突き進めなくなってしまうから、批判そのものを気にしないようにアドバイスされました」

■インタビューまでにどのような情報を集めたのでしょうか。

 「鈴木会長を日経電子版で検索して、石破茂首相に対する情報通信・IT業界の要望をまとめた記事を見つけました。現政権へ注文する立場にある経営トップだと知り、こわばっていました。冷たい対応もありましたが、優しい話し方をされていました。厳しさのなかにある優しさが、IIJをここまで引っ張ってきたと感じました。鈴木会長についての情報を集めていて、自由な考えを持った『いい加減精神』を訴えていたコメントを見つけて気になっていました。個性を大切にして新しいカルチャーをつくっていくという意味で、主張がぶれないと感じました」

鈴木氏の記事を隅々まで読んだという中村さん

■これから探究学習をどのように進めていきますか。 

「インタビューで想定していたそれぞれの仮説に対して、実際に鈴木会長からもらったメッセージとのギャップを比較しながら探究したいと考えています。探究学習では議論の流れを観察しているのが好きです。それぞれの考えに対して、その理由や背景を深掘りしていく面白さがあります」

予想通りの厳しい対応に手ごたえ

 国語科を担当する笠原諭先生は、今回の特別授業のインタビューに大きな手ごたえを感じました。

インタビューを多角的に学ぶ授業を設計した笠原諭教諭

■鈴木会長のインタビューに生徒は圧倒されたようでした。

 「本物の経営者にインタビューできたことは唯一無二の学びで、教師としても良いチャレンジでした。生徒に対して期待通りの厳しい対応をしていただきました。生徒はかなり緊張していましたが、共感したり面白がったりしている雰囲気もありました」

■予想しなかった返答に戸惑っている様子もみえました。

 「授業の後半に質問が続かなくなり、気まずい沈黙になったとしても、助け舟を出さないとあらかじめ伝えていました。チャンスを生かすのは生徒みずからです。自分の言葉に責任を持って伝えなければ、インタビューの相手に理解してもらえないことを痛感したはずです。心情を言語化するのは今すぐできずとも、時間をかけて振り返ったときに、どんな成長につながるのか期待したいです」

■探究学習の学びでは何を意識してほしいと伝えていますか。

 「1年生では学校がある狭山市を探究することからスタートしています。地域をはじめとする周りの環境に支えられていることに気づくことが大切だと伝えています。やりたいことを見つけるというのが最近の探究学習の流れです。ただ、やりたいことを見つけるより先に、自分自身に出会っていないといけません。そのためにも自分の言葉として表現することこだわりを持ってほしいです」

■今回のインタビューはどんな成果になるのでしょうか。

 「この後にどんなアウトプットをしてくれるのか、コンテンツの受け手のひとりとして楽しみです。探究のプロセスを一緒になって面白がって楽しむ姿勢が教師にも必要です。アウトプットが思い通りにならないかもしれません。それでも大人の想像 力を超えて、キラリと光るものがいくつか出てきます。そこから次にめざすものが見つかり、探究がさらに続いていくことになります」

インターネットイニシアティブ(IIJ)

授業者:インターネットイニシアティブ代表取締役 会長執行役員 鈴木幸一氏

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