学校・塾の行き帰り30分に/「日経電子版」前編

麻布高等学校

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学校・塾の行き帰り30分に/「日経電子版」前編

 今の高校生の生活は密度が高く、そして時間が足りない。学校、塾の授業、部活動、交友関係、音楽、ゲームといった趣味や推し活……。来春に大学受験を前にする高校3年生ともなると緊張感も増していきます。

 みんな、どれくらいニュースに触れているの?

 急激に変化する社会情勢やテクノロジーを、どんな視点で見つめているのか。名門校・麻布高校で3年生の「日経電子版」の5人のヘビーユーザーに集まってもらい、忙しいなかで情報を自分の力にするヒントを聞きました。(注:文中は敬称略)

受験生が日経を読む30分 フェンタニル問題やプラザ合意40年、過去記事にも発見

 5人とも午前8時から午後3時ごろまで学校ですごします。部活動を引退し、授業後はほぼ塾通い。休日も模試、図書館での自習など、息抜きをのぞけば勉強が中心の毎日です。「日経電子版」をチェックする時間を聞くと、平均30分。どんな時間に目を通しているのでしょうか。

田中亮成

 「埼玉県の川口市から、最寄りの麻布十番駅まで通っています、行き帰りの往復で1時間半かかり、そのうち半分の45分程度見ています。最近では、米国へのフェンタニル密輸、日本経由か 中国組織が名古屋に拠点(2025年6月25日)に驚きがあり、報道のスピードが速くて読み応えがありました。プラザ合意40年の連載(プラザ合意40年、不安の先に見える新秩序とは)は、カンボジアの中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)の記事が面白かったです」

田中亮成さんは「外国人問題で注目されている街に住んでいる。扇動的なメディアの報道に違和感を持った」という。
田中亮成さんは「外国人問題で注目されている街に住んでいる。扇動的なメディアの報道に違和感を持った」という。

 「将来は自然環境を守る仕事をするため、法学系の大学を受験するつもりです。自然と人間の関係をとらえ直し、巨大ソーラーパネルやダム建設などの開発に対し、コミュニティーや個人がどう調和するのか、自然との関係性を学びたいです。『私の履歴書』も頻繁に読んでいます。尾身茂(結核予防会理事長、2025年3月掲載)さんは、文系に進んだ後に医師の道を志したストーリーでした。大学に入ることがゴールではなく、そこからも色々な分岐点がありえると安心しました」

 

浅井琉太朗

 「電子版のトップ画面で気になった記事を、通学時間に30分前後読みます。小中一貫校の教員になるか、部活で専念した競技のオリエンテーリングに携わっていたいという夢を持っています。教育に強い興味を持っていますが、記事がそこまで多くないこともあり、分野にこだわらず目を通します」

オリエンテーリングで日本代表にも選ばれた浅井琉太朗さん。受験のため競技から距離を置いているが、「今も1日1時間ほどトレーニングをする」と話す
オリエンテーリングで日本代表にも選ばれた浅井琉太朗さん。受験のため競技から距離を置いているが、「今も1日1時間ほどトレーニングをする」と話す

 「中学2年生まで千葉在住で、立憲民主党代表の野田(佳彦)さんの選挙区でした。最寄り駅で野田さんの姿をよく見かけていまして、顔なじみのおじさんのような親しみを持っていました。日経電子版は、過去の記事を簡単に検索できるメリットがあります。旧民主党政権での野田さんの首相時代(2011~12年)の記事を日経電子版でさかのぼることができ、歴史にも残る安倍晋三元首相との党首討論など当時の雰囲気を知れて新鮮な気分になりました」

 

坂本隆馬

 「僕は学年で最も図書館を利用するほど本が好きです。読書をしていて心に引っかかった部分や地理の課題を調べる時に日経電子版を活用しています。客観的な事実を示したいときに重宝しています。日によってバラツキがありますが、利用時間は平均すると15分ぐらいです。国立国会図書館にも通っていて、日本経済新聞の前身である『中外商業新報』で日清戦争のころの記事も読みました」

生物部や地学、麻雀、ブランコなど15もの同好会に所属する坂本隆馬さん。富山生まれで郷土愛が強く、地方の課題に関するトピックにも目を向ける
生物部や地学、麻雀、ブランコなど15もの同好会に所属する坂本隆馬さん。富山生まれで郷土愛が強く、地方の課題に関するトピックにも目を向ける

 「日経電子版を読んだ後、自分が考えたことをX(旧Twitter)で発信することもあります。先日は『呪文の言語学』角悠介著 現代の魔女が操る韻の効用(2025年9月13日)という書評の紹介に興味がわき、学校の図書館にリクエストして読みました」

トランプ政策や宇都宮LRTなど、国際から地方ニュースまで意識

不穏な国際情勢、米中の貿易戦争で揺らぐ自由貿易体制など、先行きを見通しにくい時代になっています。どんなニュースやコラムをチェックしているのでしょうか。

柴田慶一朗

 「朝刊からまず読みます。1面の記事をざっと読み、政治・外交、国際面を斜め読みしています。学内で発行する『麻布報道新聞』で『爪楊枝』というコラムを執筆していることもあり、春秋や社説にも目を通します」

文化祭執行委員会及び予算委員会の議長を務めた柴田慶一朗さん。利害が違う意見の調整や交渉を客観的に見てきた経験から、法律や政治哲学に興味を持つ
文化祭執行委員会及び予算委員会の議長を務めた柴田慶一朗さん。利害が違う意見の調整や交渉を客観的に見てきた経験から、法律や政治哲学に興味を持つ

  「トランプ政権に関連した記事はほぼチェックしています。好景気の日本を体験したことがなかったのが僕らの世代。アメリカに依存しない経済体制や仕組みづくりに考えを巡らせる楽しみもあります。国際情勢に詳しい友人がいて、共通の話題を持つために読んでいる面もあります。NHKの『ニュース7』をかなり視聴していますが、日経電子版で情報を深掘りしたり補完したりもしています」

 

齋尾風斗

 「海外ニュースにすぐにアクセスできる半面、地方の情報はなかなか手に入りにくいところもあります。日経電子版では地域のニュースもよく見ています。例えば、宇都宮ライトレールについては、地元紙の下野新聞ではないかと感じるほどインタビュー記事を含めて詳しく報じられています。栃木に旅行して楽しかったこともあり、『芳賀・宇都宮LRT(ライトライン)』には全線乗りました」

「オリエンテーリング部」「鉄道研究部」「お料理研究部」の3つをかけもちする齋尾風斗さん。部活で作った「ジャンボ餃子」がお気に入りだ
「オリエンテーリング部」「鉄道研究部」「お料理研究部」の3つをかけもちする齋尾風斗さん。部活で作った「ジャンボ餃子」がお気に入りだ

  「シリーズのコラムでは『カッサンドラの絶景』をフォローしていますし、Podcastも欠かさず聞いています。『吉野直也の切り抜きニュース』は、菅義偉さん(元首相)や岸田文雄さん(元首相)など、すごい対談者が出演しており、毎回楽しみにしています。インタビュアーの対談の進め方や話し方も参考になり、面白がりながら学びを深めています」

初の国政選挙、自分なりの情報で1票

 高校3年は18歳になって選挙権を持ちます。18歳選挙権は2016年に導入され、大型国政選挙では2025年7月の参院選が7回目。各政党は若者世代に呼びかける政策を打ち出しました。SNSでの発信力の影響も大きな話題になりました。

坂本

 「良くも悪くも政治意識が高まって、投票率もすごく低いといわれることはなくなった気がします。(総務省によると18・19歳の得票率は41.7%、前回の2022年の参院選は35.4%)」

齋尾

 「SNSで誰もが発信できるようになって、それまで街頭演説しかなかった手段が、党首や代表によるXでのつぶやきが政党のメッセージになる時代になりました。SNSのショート動画だけで盛り上がり、そのまま投票してしまう傾向が少なからずあると思います」

 「居住する選挙区(3人区)では自民党、立憲民主党、国民民主党が序盤に競り合っていましたが、参政党が追いかけ、終盤に向けて激戦になっていきました。2人の候補者を擁立した自民は、1人だけがかろうじてすべり込み当選しました。獲得票が分散して共倒れになる可能性もありえて、世論調査やメディアの情報次第によって選挙結果を左右することを実感しました」

田中

 「『外国人問題』が争点になりましたが、川口市では参政党、保守党が駅前で街頭演説しているのが目立ち、扇動的なムードでヒートアップしていました。そうした空気に流されず、自分の判断で投票しましたが、中立的な論点を示してくれる記事にはすごい信頼感を覚えました」

柴田

 「各政党、候補者ごとの公約や意見をビジュアルでまとめてあり、開票結果をリアルタイムで見られるので、選挙が楽しくなったのは間違いないです。記事は事実を伝えるものであり、その情報をどう解釈するかは、人間関係や経験で培われる人間力が重要だと考えています」

選挙権を持つようになり、政治がより身近になっている
選挙権を持つようになり、政治がより身近になっている

浅井 

参院選後のAIが20代の参院選投票先を的中人類の予測力高める「神の視座」に(2025年9月29日)という記事にはやや釈然としませんでした。インターネットの公開情報や記事を学習したAIが、若年層の投票先を的中させたと検証していました。政党別の順位が一致しただけという印象を持ち、ちょっとどうなのかと違和感がありました」

齋尾 

「記事にしっくりこないと感じたとき、日経電子版アプリでスワイプすると見られる識者の投稿コメントがいい機能で便利です(※『Think!』。前述の記事には、日本工業大学大学院の技術経営研究科教授、田中道昭氏がひとこと解説)。コメントに納得してから、腑に落ちないときにも「やっぱりですよね」と確かめる手段にもなります。新しい視点を得られて、誤った情報に惑わされない判断力も身につけられそうです」

インタビューに答えてくれた方

麻布高等学校3年 浅井琉太朗さん 齋尾風斗さん 坂本隆馬さん 柴田慶一朗さん 田中亮成さん

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